2020年2月2日日曜日

拾い読み日記 149


 デヴィッド・L・ユーリン『それでも、読書をやめない理由』を読み終えた。

 読みながら、読むとはどういうことか、本とはどういうものか、あれこれかんがえた。「本を読むという行為はさまざまな形態のもとに存在し得る」。確かに、そう思う。それでも、自分が本のかたちにひかれるのは、なぜだろう。

 書き留めておきたいこと。蔵書がもたらす「時間のリアリティ」。文字だけではなく文学を解する脳。世界から離れ、静けさの中で、より広い対話に加わること。「わたしは、まるで夢の中にいるような状態に入っていく。」

 電子書籍で読みたいと思ったことはない。本に触れ、開き、ページをめくる行為から得られるよろこびを、失いたくないから。紙に刷られた文字がすきだから。画面の文字を追うのは、つかれるから。
 ほんとうは、理由はもっとあるはずなのに、書くことができなくて、もどかしい。
 この、はっきりと指さすことのできない「本」の魅力こそが、読書と制作の、動機のひとつでもあるだろう。

 今日の雲は、半透明のやわらかな毛布みたいで、とても気持ちよさそうだった。触れられたらなあ、と上ばかり見て歩いた。