ひと息ついて、本をひらいた。このあいだ美術館で買った、『Nobuko Watanabe works:2002–2014』。正直、展示会場で作品をみたときは、ここまで惹かれるとは思っていなかったが、作品集がすごくよくて、みていると、ただきもちがいい。白い作品にひかれる。白い布の曲線、曲面が、ひらかれた本の頁のふくらみと、ノドを連想させる。
それから、詩集をひらく。ほんとうは白い本なのに、表紙がやけて薄茶色になった『デュブーシェ詩集』を。
そしてただ まっしろなからっぽ 流れるものを
あふれださせる まっしろなからっぽだけがあるのだったら
ノドがつくるラインが、水平線のようにひかってみえる。
白いことばをあつめた、白い本がつくりたい、と思う。ことばははるかな水平線のむこうからやってくる。