2023年12月15日金曜日

しるすされない




作品集『しるすされない』
詩:小縞山いう 作品:鈴木いづみ
 dessinで開催中の展示「しるすされない」の本をデザインしました。
 3人で、写真を撮ったり、話し合ったり、紙を折るそばで印刷したりと、とてもたのしい時間を経て、出来上がった本です。本をいっしょにつくることは、たのしい、と、あらためて思いました。
 小縞山さんのあたらしい詩と、そこからつくられた鈴木さんの作品、ぜひ、展示会場で、見てほしいです。本はつくったけれど、どういうもの、とうまくいえません。言葉と物の、今までにない関係を、みたように思いました。すこしずつ、じぶんのからだに浸透させるように、よみたい本になりました。


 それから、ほかにもおしらせです。
 museum shop Tで開催中の展示「旅のたより」で販売している冊子『旅のはなし』に文章をよせました。
 「はじめての旅、ひとりの旅」というタイトルで、イギリスへの旅のことを書きました。
 展示にはまだうかがえてないのですが、冊子は届きまして、みなさんの作品や文章にふれて、どこか遠くへいきたくなりました。
 夏葉社の島田さんが、魚津での話を書かれていて、それもうれしいことでした。魚津には母の実家があるので、子どものころ、連れられて、ときどきあそびにいきました。いつかまた訪ねたい、なつかしいところです。
 museum shop Tには、ananas pressもヒロイヨミ社も、お世話になりました。お店としては、ひとくぎりとなる展示のようですが、お別れというわけではないのですよね。
 ですが、あらためて、ごあいさつを。どうもありがとうございました。『making』は、あの場所があって、出来た本です。
 
 
 先日、本屋B&Bに『窓の韻』と『fumbling』を納品しました。
 また、このあいだ、トークでお世話になりました本屋・生活綴方でも、ひきつづき、ヒロイヨミ社の本をお求めいただけますので、こちらもよろしくお願いします。

 
 Quantum Gallery & Studioでのananas press「エア メイル」展にお越しくださったみなさま、どうもありがとうございました。
 「エア メイル」というテーマは、これからもつづいていきそう、と思っていて、だから、おわったのに、おわっていないような、そんな気分でいます。あの白い空間に、じぶんのこころを置いてきて、今も、ふわふわ浮いているみたいです。



2023年12月1日金曜日

エア メイル

  


 ananas press「エア  メイル」展、開催中です。12月3日(日)まで、Quantum Gallery & Studio  にて。のこすところ、三日となりました。

 展示している本や作品は、どれもひらいたりめくったりできますので、ぜひ、手にとっておたのしみください。

 今回都筑さんがつくった「white envelope」(写真)は、Reikoさんが使った封筒の種類をしらべ、型をとって、そのかたちをうつしたものです。
 文字のない、何もはいっていない封筒は、かるいから、どこかへ飛んでゆきそうです。実際、ひらかれた封筒のかたちって、なんとなく、鳥みたいだな、と思います。

 あたらしく、『white on white』という、白い本をつくりました。
 白い紙を前にして、色のちがいや風合いのちがいをたしかめながら、さまざまなかたちをつくっていたあいだ、言葉を読むことも書くこともできなくて、ただ、ときどき、思いだしていた手紙の一節がありました。

 すぐに私に手紙を書いて下さい、長い長い手紙にして下さいね。手紙を書く時間がないのなら白紙を送って下さい、私たちは山と川によって引きさかれているけれど、あなたがなおも私のことを思っていると知らせて下さるために。(『エミリ・ディキンスンの手紙』山川瑞明・武田雅子編訳、弓書房)

   Do write me soon, and let it be a long, long letter ; and when you can't get time to write, send a paper, so as to let me know you think of me still, though we are separated by hill and stream. 

 あたまのなかがさわがしいとき、よく、白い紙のことや、白い本のことをかんがえていました。ぼんやりとした、あいまいで、あやふやな白いイメージ。その白さは、光のような、空気のようなものにも、似ているようでした。
 ゆっくりと、めくってみていただけたら、さいわいです。