梅の木に梅の実が生る。なにごとの不思議なけれど、という言葉がよぎり、誰がいったかすぐに確かめたくなるのは、現代人の(わたしの)やまいなのだろうな、と思いつつ調べ(薔薇の木に薔薇の花、だった)、そのあとでは、梅の木に梅の実が生る「不思議」を感じているのは自分だけではないから、ひとりで木を見ていても、誰かに相槌を打つような気分に、なったりもする。
桜の木のそばを通ると、ぱら、ぱら、と音がして、桜蕊が降ってくる。拾い上げて、ながめる。木の根元にはたんぽぽが咲いていて、綿毛になったものもあり、それに触れてみたいと思うけれど、触れたらきっと壊すだろうから、じっと見るだけで通りすぎる。
それから、迷子のようなしゃぼん玉をひとつ、見かけた。木にふらふらと吸い寄せられるように接近して、舞いあがったところで見失った。
