2025年7月3日木曜日

tweet 2016/7/3

 
 昨日は、さまざまミスを犯したが、どうにか3台刷りおわり、完成までの目処がたった。じわじわと、本ができていく。何かを追いつめていくようであり、どこかに追いこまれてゆくようでもある。不安の「安」の活字が見つからず、ある歌が刷れなかった。

2025年7月1日火曜日

拾い読み日記 323

 
 7月1日。プール開き。窓辺で一番のりの泳ぎ手を見まもる。ゆっくり歩いてきて、水に足を入れて、すこしバランスを崩した。思ったより水が冷たかったのか。空には繊細なレースのような白い雲がひろがっていて、それは波打ち際の景色にも似ていたので、いつか見た海があたまをよぎった。

 昨夜はシリアルキラーに追われる夢をみて、午前2時に目を覚ました。えたいのしれないおそろしいものがどこまでも追ってくる、しかも、ものすごいはやさで。脚は車輪のようだった。シリアルキラーが背負っていた重そうな荷物の中身はわからなかったが、ガチャガチャと金属音がしたのはおぼえている。目覚めたとき、上半身は汗をかいていたが、下半身は冷えていた。

 それから眠れなくなったので、本棚を眺め、クラリッセ・リスペクトル『水の流れ』に手をのばして、少しだけ読んだ。

 少し怖くもある。自分の身を委ねることが。次に訪れる瞬間は未知だから。次の瞬間を作るのはわたし? あるいはそれは自ずとできあがる? わたしと瞬間はいっしょに呼吸をしながら次の瞬間を作る。闘技場に立つ闘牛士のように機敏に。

2025年6月28日土曜日

tweet 2017/6/28


 たとえば一枚の紙を捲るように、くるんと球体の裏側に廻ってみる。水の季節の息苦しさから逃れて。この部屋の窓の外にも、ほんとうは、海が広がっている。「
海鳴りは 憑いてやまないものとして/天地とは 覆るのがつねだと心得て。」(エリザベス・ビショップ「サンドパイパー」)

2025年6月27日金曜日

tweet 2014/6/27

 
 J・ウィンターソン『オレンジだけが果物じゃない』の原書が届く。この本は、この町で最初に買った本。この言葉がとても好きだ、この人が好きだ、と思った。I want someone who will destroy and be destroyed by me.

 買ったときのレシートもはさんである。ときどき開いて確かめる。壊れた自分の欠片が、本の中で生きている。ときどき会いたくなる。

2025年6月26日木曜日

tweet 2017/6/26


 本をひらく。ノドがあらわれる。一筋の裂け目。白いふくらみ、なだらかな線。ひとの臀部の魅力に通じる。「回転軸」は隠されている。とじられた本は立つことを命とする。(長く積まれた本は歪む。)長い歩行の途上にあるものを、そっと呼びとめ、束の間の対話をする。

2025年6月25日水曜日

tweet 2017/6/25

 
 午前3時に帰宅。はっと気がつくと掛け布団の上にねていた。ワンピースのままだった。湿気が多くて、ひんやりして、鰭に退化してゆきそうな足指に触れながら、打ち上げられた天使たちをみている。

2025年6月24日火曜日

tweet 2012/6/24


 言葉と声に溺れないようにしなければ、と思うけれど、もっと溺れたい、とも思う。読むときも書くときも話すときも聞くときも。うつくしい響きの海のなかで。みなもに揺れる光に惑わされて。