ぼやっとした雰囲気であいまいな話し方をするせいか、ときどき誤解されるけれど、べつに自分は、気持ちのやさしい、おだやかな人間ではない。なにをいわれても怒らない人間でも、もちろんない。理不尽なことをいきなりいわれたら、かっとなって言い返す。感情的なメールにも、(できるだけ冷静に返したいとは思うが)こちらのいいたいことはいう。尊厳を傷つけられてまで、やりたい仕事も、つづけたい関係も、ない。だれになにをいわれても、あまり気にしない。自分をいちばんよく知っているひとが、自分を信頼して、人間としてすきでいてくれるなら、それだけでいい。そういうひとがいないときでも、すきな友だちや、すきな本があればいい。
2026年11月7日土曜日
すこやかな方へ
ぼやっとした雰囲気であいまいな話し方をするせいか、ときどき誤解されるけれど、べつに自分は、気持ちのやさしい、おだやかな人間ではない。なにをいわれても怒らない人間でも、もちろんない。理不尽なことをいきなりいわれたら、かっとなって言い返す。感情的なメールにも、(できるだけ冷静に返したいとは思うが)こちらのいいたいことはいう。尊厳を傷つけられてまで、やりたい仕事も、つづけたい関係も、ない。だれになにをいわれても、あまり気にしない。自分をいちばんよく知っているひとが、自分を信頼して、人間としてすきでいてくれるなら、それだけでいい。そういうひとがいないときでも、すきな友だちや、すきな本があればいい。
2026年11月5日木曜日
はじまり
うしろを向いて、ぱっと振りかえったらわらいますよ、とKくんがいうので、うしろを向いて、いきおいよく振りかえってみたら、やや間があって、上くちびると下くちびるのあいだに、空洞のようなすきまができた。そして、それが、すこし、ゆがんだ。わらった、というよりは、わらいのまえのわらい、わらいのはじまり、わらいのみなもとを、みせてくれたようだった。ひとには、比喩でなく、「おもて」と「うら」があるのだなあ、と思った。それがくるっとひるがえって、ひとのこころをうごかす。いちまいの紙のような「もの」になれる。
本体よりも、でっぱったものやくっついているものにばかり反応するのも、おもしろいことだった。それをすぐに口にいれるところも。口唇の感覚で、ものごとを知る、世界にであうということ。
抱いてみたら、おもたくて、あたたかで、どこもかしこもやわらかで、弾力がある。こわしてしまわないように、気が張りながらも、つかのま、まもるべき存在を託されたよろこびを感じた。同時に、すべてのよこしまなものたちからまもられているような、ほっとする感覚もあった。
窓硝子にうつるものが気になるけれど、それが、まだ、じぶんだとは気づいていない。「うつる」ことそのものの、おもしろさ。それは、うつっているのがじぶんだ、と気づいたときに、どうなるのだろうか。
帰ってきてはやく寝すぎて夜中に目が覚めたので、なんとなく本棚をながめ、どの背表紙も遠く感じたけれど、クレール・マラン『はじまり』を、読んでみようかと思った。
小さな調べに、秘められた囁(ささや)きに耳をそばたてなければならない。待っているもの、わたしたちの中で焦がれているものに注意を払い、その瞬間を、その貝殻の内側でまだうずくまったままのものを、樹皮の下で、今にも花開こうとする瞬間を待っていなければならない。(「賽を投げる」)
ちいさな、はじまったばかりの無垢なものに触れることで、世界はあたらしい繊細さで、目の前にあらわれる。しらずしらず、すさんでいた部分があったことを知る。それは、かならずしも、おだやかになることではない。きのうは、言語活動のはじまりも、目撃した気がするのだが、その声の甘美さとみずみずしさは、じぶんのなかにある、自由でありたい気持ちや、抑圧するものへの反抗心を、あらたに目覚めさせてくれるものだった。
2026年11月3日火曜日
霧の朝
2026年11月2日月曜日
蝶と紙片
彼の目覚ましが朝5時に鳴って、ちょうど鼻が詰まっていたので起きて、送り出して、へんな夢をいくつかみた、とだけいって、その話ができなかったから、寝床で、記録した。
2026年10月28日水曜日
朝のできごと
目が覚めたらまだ4時半で、もう一度ねむろうと目を閉じてしばらくして、蚊の羽音でぱっと目が開いた。起きることにした。新聞を取りにいったときドアを開けてそとを見ると、明けてゆこうとする空が、薄紫から金色へ、みごとなグラデーションをなしているので色に吸いこまれるようにふらふらとそとへ出ていった。あるいは、色をからだで吸いとろうとして。葉擦れの音がおおきくて、波音を思わせた。空には真珠色の月がうかんでいる。すこしだけ欠けている。手でつくられたものみたいに。鳥が一羽、また一羽と暗い青空を飛んでいく。飛ばされていく。あれは、彼方へむかう未綴じの頁? 起こしてくれた蚊に、感謝する。夜明け前、思いがけず、深い幸福を感じさせてくれた蚊に。「今朝は、本当にありがとう」。
2026年10月24日土曜日
拾い読み日記 385
2026年10月18日日曜日
拾い読み日記 384
ぐっすりねむって、真っ白なノートのようにまっさらな気持ちでめざめた朝だった。窓からの光が、なにもかもをはらっていった。
ぬいぐるみの動物たちと、本棚にある本たちのメッセージを、ひとつひとつ、書き留めることができたらな、と夢想した。特別な紙に、特別なペンで、しずかに、窓のそとを眺めたりしながら。

