夜中に目が覚めてしまい、眠れないのでたまたま見つけた装幀をめぐるエッセイを暗がりで読んでいたら、悶々として、ますます目が冴えてしまった。装幀家の自己表現、自己実現、「生存戦略」に奉仕させられる装幀のかなしさ。そうなると装幀は、かぎりなく広告に近づいていく。書物のからだ(顔)が広告的になってしまうことに、いいようのない不安と息ぐるしさをおぼえる。余白をつくったらしぬのか? と思ってしまうような、どこか強迫的なブックデザインが、多い気がする。いいすぎだろうか。そうかもしれない。そうであってほしい。
装幀の仕事をしながら装幀についてかんがえることはできるが、書くことは、困難だ。こんなことを書くおまえの仕事はどうなのだ、と問う声がどこかから飛んできて、うつむくしかないから。
それでも仕事がおちついたら、本の美しさと装幀の新しさということについて、かんがえてみたいと思う。それには、本とは何か、という問いから、ふたたび、はじめなければならない。
近所に買い物に出たとき、日差しがつよくて、日傘を持って出なかったことを後悔した。躑躅の濃いピンク色に目をうばわれる。朝は淡いうろこ雲がうつくしかった。
