2026年7月31日金曜日

拾い読み日記 374


 本を読んでいて、何かを感じる。思う。思い出す。かんがえる。読んでいることと読んでいないことの絶え間ないせめぎ合い、それが本を読むということなのか、「読んでいない」がいつも「読んでいる」を圧倒してしまうのは、感覚が、つよすぎるからだろうか。
 
 ラルフ・ジェームズ・サヴァリーズ『嗅ぐ文学、動く言葉、感じる読書 自閉症者と小説を読む』を読んでいる。「自閉症的読み方」、ゆっくりと、濃く、ふかく読むこと。言葉に憑かれたり、言葉にとらわれたりすることを、おそれなくて、いいのだと思った。

 はやく読めなくていい。たくさんの本を読めなくてもいい。感覚にのみこまれて、何を読んでいるのかわからなくなってもいい。感じたことがすべて、いずれ、「本」を豊かにすることにつながっていく。妄想かもしれないが、そんなことを、寝そべって本を読んでいて、すこしねむって意識がもどったときに、思った。

 黄昏どき、一羽の白い鳥が、北のほうに向かって飛んでいった。川に来ていたシラサギだろうか。あの鳥のかたち、はばたきかた、ゆったりしたリズム。それはやわらかな啓示のように、とつぜん胸におりてきて、このことを、だれかにつたえなければ、と思ったのだった。