2020年5月23日土曜日

拾い読み日記 184


 早朝、寝床でうぐいすの声を聞く。ほーうと、口笛みたいなこもった音のあと、ケキョ、と奇妙にくっきりした、よく響く声で鳴く。あたりがあかるくなるような声。
 このままずっと、灰色の日がつづくのかと思っていた。うぐいすが光をつれてきたようだ。

 5月ももうすぐ終わる。長い5月だった。本を読みたいと思っていたのに、制作をしていたせいで、あまり読めなかった。
 入稿前は、細かいところばかりが気になって疲れ果ててしまい、最後は、もういい、どうなってもいい、となかば投げやりに入稿した。入稿は、疲れる。

 「神の遠さは生の親密さである、彼はそう言っていた」。去年の手帳に書いてあるのを、先日見つけた。いくつもの疑問がわく。誰の言葉なのだろう。彼とは誰だろう。神に遠く生に近い状態と、神に近く生に遠い状態では、どちらが幸福なのだろう。

 去年の手帳は真っ黒で、なぜあんなに予定があったのか、とても不思議だ。去年のことだけれど、ずいぶん遠いことのように感じる。無理をしていたのだな、と今は思う。