2018年2月20日火曜日

拾い読み日記 17


 きのう早稲田のブックオフで買った『尾崎左永子歌集』(現代短歌文庫)をぱらぱらめくる。歌を読むのはひさしぶりで、新鮮に感じる。短歌の長さ、息遣い、リズム。こんなにのびやかな、ふかぶかしたものだったかと思う。一行の語り物のよう。たわむれに鳥を探してみる。

 早春の冷たさゆゑに街上の日だまりに来て鳩群るるところ

 日の中に羽毛は淡く漂へり春の孔雀の脱ぎ捨てしもの

 目の前を波状によぎる小鳥ゐて雑木は春の芽立ちの気配

 2006年発行だが、活版印刷で刷られていて、ところどころ印圧が強く、裏のページに響いている。しかし歌集だからか、そんなには読書の妨げにならない。インタビュー「奈々村久生の回想」もおもしろかった。

 一枚発注のファクシミリを送り、今日の仕事は終わり。待ち合わせの前に、意味もなく、ぶらぶらと町をさまよい歩きたい気分。何の本を持っていこうか、と、まるで旅に出るみたいにして出かけたい。