2018年2月19日月曜日
拾い読み日記 16
午後から神楽坂へ。お昼をたべようと思っていた店がなくなっていて、じゃあここにしよう、と向かったお店も、もうやってなかった。どこも見つからず、10年前に一度行った店に向かうと、そこは本がたくさんあって、座った席の目の前の本棚には、矢内原伊作の本が10冊くらい並んでいた。何冊か手にとってしばらく読んでいた。いくつかの言葉を手帳に書き写した。
「それは無だ。無である以上、僕はそれを知ることができない。しかしまた、それを見まもり、それに耳を傾ける以外に、どこに僕の生があろう。何かわからないもの、むしろ、漂う虚無の中に僕をおし流すもの、しかしまたそれなくしては却って僕という存在が無に帰してしまうもの。それは無ではなく絶対の有ではないか。」(矢内原伊作「戦後の日記から 1」/『人生の手帖』より)
昨日はAmleteronで朗読と音楽のライブ「穴のあいた、」。ことばとうた、声と音が、まだ耳に残っている。とても深いところに届いた気がした。帰り、偶然ライブで会ったAくんとひさしぶりにコクテイルへ。そこでも池間由布子さんの歌が流れていた。
またそのうち、ひとの前で朗読したり、歌を口ずさんだりしようと思う。それにもっと、誰かの詩を読む声を聞きたいと思う。来月の展示では、そういう小さな会を催せそうなので、楽しみにしている。朗読は、巧い必要はない。自分の場合は、なめらかな、巧い朗読を聞くと、感情がなかなか動いてくれない。
帰りは水中書店で『堀辰雄作品集』のエッセイの巻を買った。矢内原伊作の本にも堀辰雄宛ての手紙が収録されていたことを思い出して。活字を運んでかなり疲れたが、よい一日だった。