2026年10月28日水曜日

朝のできごと


 目が覚めたらまだ4時半で、もう一度ねむろうと目を閉じてしばらくして、蚊の羽音でぱっと目が開いた。起きることにした。新聞を取りにいったときドアを開けてそとを見ると、明けてゆこうとする空が、薄紫から金色へ、みごとなグラデーションをなしているので色に吸いこまれるようにふらふらとそとへ出ていった。あるいは、色をからだで吸いとろうとして。葉擦れの音がおおきくて、波音を思わせた。空には真珠色の月がうかんでいる。すこしだけ欠けている。手でつくられたものみたいに。鳥が一羽、また一羽と暗い青空を飛んでいく。飛ばされていく。あれは、彼方へむかう未綴じの頁? 起こしてくれた蚊に、感謝する。夜明け前、思いがけず、深い幸福を感じさせてくれた蚊に。「今朝は、本当にありがとう」。