アルベール・マルケの絵をみていると、ゆっくりと、何かが、やってきた。ほんのりと、ものがあたたまるように、しあわせな気持ちになっていった。風景を、愛したひとの幸福。晴れの日も、曇りの日も、霧の日も、雪の日も。天気によって色合いが変わる景色に、目をみはり、その変化のすべてをいつくしむ、熱っぽいまなざしを感じた。じぶんが消えてしまっても、まだ、みている。そう思った。
マルケの描いた水をみていると、色がたゆたいながら深まっていくようで、あまく不安な気持ちになった。夢幻的な水色に、身も心もひたされていき、あしもとがゆらぎだす。はるかなものがおしよせる。ああ、ずっと、海がみたかった、のかもしれないと、思う。海をみにいったら、きっと、マルケの海が、むしょうに恋しくなるだろう。
