2026年6月12日金曜日

拾い読み日記 363


 ベンヤミンについて書かれた本を読む。その合間に、ベンヤミンが書いた本を読む。古本で買った三島憲一『ベンヤミン 破壊・収集・記憶(現代思想の冒険者たち 第09巻)には、すこし書き込みがあって、「アクチュアリティ」と、余白に書かれているのが目にとまる。まだ幼さの残る、おそらくは大学生くらいの人が書いた文字に見える。
 もっとも興味のある部分「収集と引用」を読みたいが、そこを読んでしまうとほかのところは読めない気がして、最初から読んでいくことにする。

 雨が来る前、東の空をずっと見ていた。とても淡い水色の空にパールホワイトの絵の具で描いたような大きな雲が低いところに横たわっていて、このような儚い美しい光を放つ雲が存在することが信じられなくて、まぼろしのようだ、と思った。夢のような雲。というよりは、雲のような夢、といったほうがふさわしい。あの雲は、いったい、何だったのだろう。

 「形象の世界に浸る喜びとは、知に対する陰にこもった反抗心によって培われるものではなかろうか」、とベンヤミンは書いている。もしかしたら、思うように本が読めないのは、「形象」にこころを奪われすぎているから、かもしれない。