2019年3月31日日曜日

拾い読み日記 102


 3月最後の日。朝、すこしの制作と製本のあと、フランクのヴァイオリン・ソナタを聴いている。ぼんやりしてしまう。このところ、突然眠くなったり、めまいがしたり、体調が安定しない。
 
 昨日はりんてん舎の開店日。Mさんに頼んで、夫といっしょに花を贈った。夜いってみると、おもてに置いてあった。「ヒロイヨミ社」と路上でみると、あらためて、おもしろい名前だなと思った。うさんくさいというのか……。りんてん舎は、いい名前だと思う。
 夫と、Mさんと、「ヒマラヤ」で乾杯した。3人とも、ひと仕事終えたような感じ。よい夜。

 先週の火曜日、3人の古本屋さんと話した夜も、なんだかよかった。文芸サークルの部室での会話みたいで。3人とも、自分より、ずっと広く深く本を読んできていて、みんな、先輩みたいだなと思った。
 もっと本を読みたいと思った。それから、もっと人とこんなふうに本の話をできたら、と思った。これまで何を読んできたのか。いま何を読んでいるのか。構えずに、気をつかわずに。親密に。まじめに、てきとうに。
 本を通じて知り合っても、本の仕事をしていても、意外と、集まりなどでは、本の話をしなかったりする。今は、むかしよりずっと、本の話ができる人がまわりにいてくれて、そのことを、ときどき、心づよく感じる。それは、読めないときでも、本棚の背表紙を見るだけで安心する感じと、たぶん似ている。

 平出隆『白球礼讃』を読み終えた。本を閉じてすぐ、野球がしたい、と思ったが、今は、その気持ちは、落ちついている。

 イケムラレイコ『どこにも属さないわたし』も読んだ。展覧会「土と星 Our Planet」で目にした一行が、ときどき脳裏をよぎる。

 Shall I show you my birdness ?