2018年7月23日月曜日
拾い読み日記 49
ヤンソンさんの生まれた街にいるよ、とメールに書いてあったけれど、「ヤンソンさん」がすぐには誰か、わからなかった。「ヤンソンさんの誘惑」というじゃがいも料理のことを思い出したり、ホルスト・ヤンセン?とちらっと思ったりもしたけれど、ヘルシンキなのだから、それはトーベ・ヤンソンに決まっていた。
ヘルシンキは、日陰はすずしく風が爽やからしくて、いいなと思う。はやく秋がきてほしい。
吉祥寺の啓文堂へ。外国文学の文庫がわりと充実していて、なんとなく目にとまったので『トーベ・ヤンソン短篇集』を買った。「往復書簡」を読んでせつなくなる。すこし苦しいくらいのせつなさ。「往復書簡」というタイトルだが、小説は日本に住む「タミコ」から「ヤンソンさん」への手紙のみでできている。タミコは書く。
「だれにも理解できて、だれもがこれこそ自分が思いえがいていたものだと感じる、そんな物語を書いてみたいのです。
どれぐらい年をとったら、書くことができるのでしょうか。
でも、あなたの助けなしには、とても書けそうにありません。
毎日が、待ちわびる日々です。
とても疲れている、そうあなたはいいました。
仕事をしてはいるが、まわりにはあまりにもたくさんの人がいると。
でも、わたしはあなたをなぐさめ、あなたの孤独をまもる人になりたい。」