2018年7月22日日曜日
拾い読み日記 48
川沿いの道を駅に向かって歩いていると、お隣の女性がちょうど帰ってくるところだった。わたしを見て目をきらきらさせながら、「ちょうど今、水中書店のことをかんがえていたの」という。夫が作った「三鷹マップ」をお友達が見せてくれた、とのこと。その似顔絵がすごくそっくり、といわれる。ありがとうございます、とこたえて別れ、電車に乗って、ひさしぶりに街へ。
東塔堂で「羽原粛郎の画道︱団扇と書画」をみた。みずみずしく、粋で、涼しく、かろやかな展示。羽原さんが話し出す前の、悪戯っ子みたいにきらっと一瞬きらめく瞳を思い出す。値段でも遊んでいるので、そういうところも素敵だなと感動して、作品をふたつ買った。お知らせのはがきに『本へ!』からの抜粋が載っている。
夏は
思いを寄せている人
友人たちと
海辺や
湖岸や
河川の
砂浜で
遠くの林の中で, 激しく, 鳴いている
蝉の声をかすかに, 幽かに, 微かに,
聴きながら
君の性格について
君の習慣について
明日について
人生について
話そう.
狩野岳朗「untitled」もみた。心の奥にあるものを探って、絵にするということは、身体を使った実験・冒険のようだと感じる。自他から吹いてくるさまざまな風のなかで、かたちのないものにかたちを与えること。絵を描いてみたくなる。言葉をすべて忘れたり、脱ぎすてたりして。岳朗さんは、詩に興味が出てきたそうで、これまで読んだことのないものを読んでみたい、という。そういう気持ちに触れられて、とてもよかった。澄んだ水ですすがれたよう。あとから夫に話すと、そういう気持ちにまさるものはない、という。ほんとうに、そう思う。