2021年10月27日水曜日

拾い読み日記 263

 
 今日の仕事を終えて、相当つかれたのに、まだ、パソコンの前から離れられない。なぜだろうか。

 ふいに、「デザインに悲しみは盛れないか」という、山城隆一の言葉を思いだした。すこし酔ったあたまで、どこかにもどりたい、と思う。どこかにさかのぼりたい、どこかはわからないけれど。
 「いま」の幸福を感じることとはまったく無関係に、「むかし」を、甘く、やさしく感じる。

 あのあと、川でのんだんだって、などと、笑いながらうわさばなしをしていたのに、自分も、川にいって、のんでしまった。存外、たのしかった。川は大きくて、ちからづよくて、まぶしかった。「川一条は人界と幻界との隔てなり」。ぼんやりものを書いていると、たやすく、ひとのことばにのっとられる。

 川から日暮里に移動して、夜通し、本や、恋の話をした。おかあさんみたいにやさしい感じの男の人が、おさしみや、まぐろのカマを出してくれた。
 語りつづけるものとよいつぶれるものが、同じ空間にいて、なんだか、サークルの部室で一晩すごしたみたいだった。サークル名は、書物論研究会、だろう。
 いつまでもこんなふうに、「本」のことばかり、かんがえたり、かたりあったりできれば、しあわせだなあ、と思う。