ワンタン麺がたべたくてそのラーメン屋に行ったのに、券売機を見ると、ワンタン麺のボタンがない。白い紙で隠されている。メニューが変わったらしい。昨夜、その券売機の画像まで検索して見たくらい、ワンタン麺がたべたかったのに。かなりうろたえたが、いらっしゃいませといわれ、ひきかえすのもはばかられて、ワンタン麺ではないラーメンをたべた。麺はちょっとゆですぎのような気がしたが、まずいわけではなかった。でも、もう行かないと思う。
午前中、岩佐なをさんの詩集『ゆめみる手控』をめくってみたら、ラーメンの詩があった。「そぎ」という詩。
そぎとられた肉や
釜で煮込まれた骨
切りとられた葉物
謎の朱いうずまき
をおそれぬあまり
いつくしみも捨て
ああいいにおいと
口走ってしまう罪
をゆるしたまえ
ラーメン
うどんも、そばも、パスタも、フォーもすきだけれど、たべたくなって画像検索するくらいなのは、ラーメンだけだ。ラーメンの何が、そこまでじぶんをひきつけるのだろう。カロリーとか、塩分とかをかんがえると、すこし、背徳的な感じもする。あと、詩に描かれているような、野蛮な感じ。そこがいいのかもしれない。麺をすくってすするという行為も、ワイルドといえなくもないような。なるとのうずまきを、いつも、「の」みたいだ、と思う。