2026年3月31日火曜日

80歳になったら


 80歳になったらわかるよ。卓球仲間のKさんがいった。卓球だけでなく麻雀やシャンソンをやっていて、笑い上戸でひょうきんな彼女の、ちょっとネガティブな言葉がひっかかった。勝ち負けにこだわるあまり偏狭になって孤立して、卓球をやめていく人も、けっこういるんだよ、という。年とってほかに楽しいことがないから、夢中になっちゃうんだね。そういう人への、同情ともいいがたい、なんらかの情を彼女の目と声から感じとったのだが、ほんとうはどういう気持ちなのか、80歳になったら、わかるだろうか。

 昨日、体育館からの帰り道、おおきな白い鳥をみた。春の淡い青空で、ひろげた翼が光を反射してきらめいて目をうばわれたが、すぐに、見えなくなった。今朝も寝床で、その一瞬のできごとを思い出していた。白い鳥は記憶のなかで白い本にすがたを変え、見えない文字で書かれたページをはためかせて、空の彼方へ飛んでいった。