2024年4月19日金曜日

拾い読み日記 299

 
 桜の木の、天地について。
 桜は地面に近いところから、花から葉にうつっていく。人が木を見あげて、すっかり葉に変わった、と思っても、空に近い部分には、まだ、花が咲いている。だから今朝も、2階のベランダに、花びらが風にのって、ながれてきた。

 花がふってくると思う
 花がふってくるとおもう
 この てのひらにうけとろうとおもう

 八木重吉の詩集を、ひさしぶりにひらいた。みじかい詩だから、あたまをよぎったときと、そんなに、変わらない。それでも、本を手にして、紙をめくり、詩をさがす。すこしのあいだ、文字をながめる。手のひらで、全身で、言葉をもっと、うけとることができればいい、と思う。

 昨日の午後は気圧のせいかめまいがして、横になって瞑想しよう、と思い、目を閉じた。眠ろう、と思うのでなく、瞑想しよう、と思うほうが、すんなり眠れる。
 
 うすももいろの花びらは、ひらひらひるがえったり、ちいさくかがやいたりして、空の青とあそんでいるようでもあった。
 見ているうちに、くらい思いは消えていった。