桜の木の、天地について。
桜は地面に近いところから、花から葉にうつっていく。人が木を見あげて、すっかり葉に変わった、と思っても、空に近い部分には、まだ、花が咲いている。だから今朝も、2階のベランダに、花びらが風にのって、ながれてきた。
花がふってくると思う
花がふってくるとおもう
この てのひらにうけとろうとおもう
八木重吉の詩集を、ひさしぶりにひらいた。みじかい詩だから、あたまをよぎったときと、そんなに、変わらない。それでも、本を手にして、紙をめくり、詩をさがす。すこしのあいだ、文字をながめる。手のひらで、全身で、言葉をもっと、うけとることができればいい、と思う。
昨日の午後は気圧のせいかめまいがして、横になって瞑想しよう、と思い、目を閉じた。眠ろう、と思うのでなく、瞑想しよう、と思うほうが、すんなり眠れる。
うすももいろの花びらは、ひらひらひるがえったり、ちいさくかがやいたりして、空の青とあそんでいるようでもあった。
見ているうちに、くらい思いは消えていった。