屋根裏で、仕事に必要な小冊子を探していたら、2年ほど前に使っていた綺麗な手製本のノートを見つけた。こんなの、持っていたことすら忘れていた。なつかしくて開いてみると、猫のスケッチや、そのころ惹かれた短歌や俳句が書き留めてあった。
随いてくるたましひなればしかたなし日向をえらび移りゆく我は 斎藤史
書きうつしておくと、いいなと思った。自分から自分へのメッセージみたいで。
夕方、ヒグラシみたいな声で鳴くものがあった。ヒグラシでないことはわかったのだが、いったい何なのか、わからない。鳥? とあたりをつけて検索してみると、思いがけなく、蛙の声が、似ていた。カジカガエル、河鹿蛙と書く。「清流の歌姫」ともいわれるらしい。たしかに、うっとりするほど澄んだ声だった。はたして、こんなところにいるものだろうか。雨につられて、水辺から、やってきたのだろうか。