2020年7月26日日曜日

拾い読み日記 196


 レベッカ・ソルニット『迷うことについて』、津村記久子『サキの忘れ物』、梨木香歩『ほんとうのリーダーのみつけかた』、岬多可子『桜病院周辺』を、立て続けに読んだ。何をいそいでいるのかわからないのだが、読み始めると、読み終えたくなる。こういうときに、読めるだけ読みたい。

 自分の心身の状態は、今日の天気みたいに、めまぐるしく変わる。読みたい本も、読める本も、毎日ちがう。探るように、本をめくって、読んでみる。うまく入れるときも、入れないときもある。読める、ということは、奇跡みたいなことかも、とちらっと思った。

 はじめて文庫本を買ったときの千春(「サキの忘れ物」)のように、本を読みたい。


 いつもより遅くて長い帰り道を歩きながら、千春は、これがおもしろくてもつまらなくてもかまわない、とずっと思っていた。それ以上に、おもしろいかつまらないかをなんとか自分でわかるようになりたいと思った。

 
 「隣のビル」も、よかった。抑圧からの逃れかたが、素敵だった。手をのばして、身体をあずけて、迷い込めばいいのだ。この主人公の上司みたいに、高圧的で理不尽なことをいう男の夢は、ときどきみる。