2019年4月18日木曜日

拾い読み日記 110


 よい天気の日。大阪から帰ってきて腰痛がひどくて、つらかった。異常にこころぼそくなり、いつもそばにいてうすよごれてきたぬいぐるみ(パペット)のにっこりした顔を見ているだけで、かわいそうになり泣けてくるほどだった。もしかしたら、どうかしているのかもしれない。

 大阪での「エア メイル」展をみた方が『葉書でドナルド・エヴァンズに』が好きな人におすすめしたい、と書いてくださっていてうれしかった。夫にそのことをいうと、平出チルドレンだものね、とのことだった。平出チルドレン……。なのかどうかはともかく、書物論講座を受講したことは、最近の制作に強く影響していると思う。ヒロイヨミ社もananas pressも、新宿私塾に行かなかったらはじまらなかったことをかんがえると、独学でなく、どこかに通って学ぶことは、とても大切で、必要なことだった。

 「すべての書物がスキャンされようとしている時代、それはプライヴェート・プレスにとっては挑みがいのある時代である」(平出隆)。つくりたいのは、空間なのだろうと思う。書物という空間。
 とはいえ、書物という言葉がふさわしいとも思えない、うすい冊子ばかりつくっている。今度の本も、薄くて、たよりない。どこかから流れ着いてきたようなものになったらいい。
 これからも、ちゃんとした、背のある本は、つくれないし、つくりたくならないような気もしている。先のことは、わからないけれど。
 
 『ヒロインズ』、少しずつ読みすすめている。

こういう貴重本の閲覧室に入ると、いつも寒々しい家父長的な空気のようなものを肌身に感じる。私の体温が永久保存の資料を傷めてしまうのではないかと、見張られているような気がして。(ケイト・ザンブレノ『ヒロインズ』西山敦子訳)