2019年2月16日土曜日

拾い読み日記 76



 朝、ベランダに出たら、春の気配がした。西の空にオーガンジーのリボンのような雲が浮かんでいた。天から舞い降りて、また舞い上がっていくものに見えた。

 午前中はSufjan Stevens「Michigan」を聴きながら『ほんほん蒸気』の製本など。
 春の詩を探したりもした。
 
 お昼をたべに近所に出かけて、それから石垣りん『焰に手をかざして』を拾い読みした。読んでいると生活や家族や老いや死といったことがのしかかってきて、今は、それが、重かった。なかなか作業に戻れない。

 あとがきで、堀文子さんのお母さんの話が出てくる。夕食後、「今夜は遅くなりますから、泊めていただかなければなりません」というので、堀さんがお姉さんと思わず顔を見合わせた、という話。「私もまた、泊めていただかなければならないこの世の宿ということを、思わないわけにはゆきませんでした」。
 
 身体のこわばりがなかなかとれない。いろいろ考えすぎてしまって疲れる。
 明日も晴れますように。