2026年9月16日水曜日

拾い読み日記 379


  午前中、雨が降って空もくらいのに、プールで男の子たちがさわいでいた。ひと夏はたらいた憂さ晴らしだろうけれど、きっと寒いだろうなあと心配になる。たのしそうな声が上がるたびに、しんじがたくて、窓から、ベランダから、見つめていた。

 自分の書くテクストは私にとって欲望の対象なのです。そのテクストと私のあいだには昼と夜とを問わず絶えざる交流があるのです。それが紙のうえで生じるかどうかは重要ではありません。ある意味で私は四六時中そのテクストとともに生きているのです。(エレーヌ・シクスー)*

 つよく惹かれて、そのことがあたまから離れないとき、書くことによってそれを振りはらおうとしてきた。書きたいと思う対象に「憑かれる」ことは、恋することに似ている。あるいは、「恋するように愛してしまうこと」。そして、書く/書いている言葉もまた、欲望の対象になる。情熱をうしなうくらいなら、書き終えないほうがいいとも思う。いつまでも途上にいること。

 ミランダ・ジュライ『はいつくばって』を読み始める。しょっぱなからはげしい欲望と妄想の渦に巻き込まれる。彼女のことがどうにも気になる。まるで恋のように? いったい、どうなってしまうのか。


*ジャン゠ルイ・ド・ランビュール編『作家の仕事部屋』(岩崎力訳、中公文庫)