2018年3月2日金曜日

拾い読み日記 24



 3月になった。昨日は4月みたいにあたたかくて、昼間はコートを手に持って歩いた。立川で用事をすませ、南武線に乗って武蔵小杉を経由して、学芸大学へ。ふだん使わない電車に乗ることが、旅のようで楽しかった。
 SUNNY BOY BOOKSで大平高之さんの展示「komorebi」。もののかたち、しずかな気配、あたたかな光。それらを繊細に、たしかな目と手でとらえた絵。隣にことばを置くとしたら、それはやはり詩だろうな、と思った。

  銀河系のとある酒場のヒヤシンス  閒石

 昨日、歯の治療中に、ふっと脳裏を過ぎった句。とはいっても、「とある宇宙」と、まちがって過ぎった。銀河系のとある宇宙。ねじれている。
 
 SUNNY BOY BOOKSでは松浦寿輝『官能の哲学』と『考える人』のバックナンバー(文庫特集)を買った。

「発語は、程度の差こそあれそのつどつねに、「わたし」ならざるものへ向かって溢れ出してゆくことを「わたし」に強いるのだ。」(『官能の哲学』)
 
 えんえんと続く作業の途中でそう思うみたいに、何をやっているのだろう、と思うことはあるけれど、まだしばらく日記を続けてみたい。 
 
 今日も、わりとあたたかい。近所のニワトリがひっきりなしに鳴いている。紙を発注したり、凸版を発注したりして、ちょっと疲れた。流れ目やサイズにまちがいがないように、何度も確認した。これから製本の時間。その前に珈琲を淹れて、すこし本を読みたい。作業が終わったら、どこかでお酒をのむかもしれない。