2019年6月9日日曜日

拾い読み日記 131


 ひんやりした日。空は明るいグレー。
 気分はしずんだりあがったりしている。今は、古本や古着を買うのがたのしい。

 金曜、ルート・ブリュック展へ。とてもすばらしくて、ためいきをついたり息をのんだり。ずっとみていたかった。けれど、会場のスマホのシャッター音と、スマホを作品にかざす人々のすがたが、つらかった。おかしくなりそうなほどだった。

 そのあと尾柳佳枝さんの展示にいった。かばんに絵を描いてもらって、その、描いているようすをみたり、絵の具が乾くのをじっと待ったりしている時間が、よかった。尾柳さんの絵をみていると、じわじわと気持ちがかるくなり、何か、描きたくなってくる。

 ジャン=ミシェル・モルポワ『見えないものを集める蜜蜂』を買った。ABC本店にも紀伊國屋書店新宿店にもなかったが、古書ソオダ水にあった。
 
 彼にとってはことばが羽や花粉の代わりをする。蜜を作るのではなく、インクをまき散らす。物思いの中を飛びあさる。この世の物から詩以上に良きものを作り出すことは、彼にはできない。彼のことばには空がひろがる。そして存在しないものたちが、彼の頭の中にひときわ大きな場所を占めている。

 昨日、水中書店でばったりAさんに会って、お茶に誘って、とはいえ自分はいつものようにビールをのんで、いろいろ話した。『団地ともお』の話をしわすれたのが、ちょっとざんねんだ。