今日も卓球はたのしくて、ころされる夢をみたことなんてすっかりわすれてしまった。それでも書き留めておきたいと思うのは、なぜだろう。打撃を受けて倒れ、うつ伏せで、ダイイング・メッセージを残そうとしたが、どう書いたらいいか迷っているうちに、とどめを刺されてしまった。お腹ににぶい痛みを感じ、やがて、ブラックアウト。はやく書けばよかった、と後悔しながら。なにものかに追われる夢やちいさないきものをしなせてしまう夢は、むかしからよくみていたが、ころされる夢ははじめてかもしれない。顔も声もない不気味なころし屋だった。
ピン・ポン・ピン・ポン・ピン・ポン・ピン・ポン。その音は異様にさわやかで、僕らは異様に気持ちが軽くなった。汗が流れた。殴られた痛さなんかはもう、汗といっしょに流れ出ちゃったような感じで。(パク・ミンギュ『ピンポン』斎藤真理子訳、白水社)
卓球場以外では会わない、年上のひとびと。ずいぶん年上でも、上手くても、えらそうな人なんていない。白い球を打ち合うだけで、異様にたのしい。ここでは大声を出したり、くやしがったり、ふだんより素直に感情をあらわすことができる。卓球場を出ても、そのたのしさやすがすがしさはつづいていて、もっと、何か、できそうだ、とわけもなく前向きな気分になれる。
