2024年9月15日日曜日

拾い読み日記 310


 一冊の本は、無数の決断で出来ている。決断、もしくは、断念。これは、誰の言葉だったろうか。ある迷いから、本棚から本を取りだしては開いて、やみくもにページをめくっていた。とても、疲れた。

 あの日、博物館に向かっていたときは、まだ、怒りがあった。だいぶ、よわってはいたが、その怒りによって、やりとげる力が得られたような気がした。

 しかし、博物館から出て、カフェに入り、ビールをのみながら、空を見上げてちいさな飛行機の影を目で追っているときに、ある思いが、降りてきた。
 こころを濁らせてはいけない。

 かれにとっては、一片の土地の住民と小さな虫たちの苦痛こそが問題なのであった。この小さな存在がかれの「連帯」の相手であった。(市村弘正『小さなものの諸形態』)

 小さな存在として、小さな存在のために、あたえられたからだとこころを使うこと。