書きたいと思っていたことも、画面に向かうと消えてしまった。
言葉を奪われ続けている。しかし、物と手の力によって、書くことはできないだろうか。そう考えて、ひとつのやり方を試してみる。続くかどうか、まだわからない。
風の強い日だった。
何冊かの本を手にした。
その中の一冊から。
「言葉は人間の道具ではない、むしろ人間が言葉の道具なのだ。個人——個体ではない——とは言語が自らを豊かにするために発明したひとつのからくりにすぎない。」(三浦雅士)
いま、言葉の、よい道具になるためにはどうすればいいか。言葉は何をもとめているのだろうか。「手あたりばったり」、試してみるほかない。