2020年11月20日金曜日

拾い読み日記 216

 
 この二週間ほど、ほとんど本が読めなかった。

 今月の疲れのピークは、先週、うちあわせのあとよろよろと寄った薬局で、チョコラBBハイパーを買おうとしたら、レジで別のドリンクを勧められ、考える気力もなく、するするとそれを購入したあたりだろうか。900円もする蔘28、効いたのだろうか。さいわい、たおれたり、風邪をひいたりはしていない。

 朝、本棚から糸井茂莉『ノート/夜、波のように』をぬいたつもりが、テーブルの上には、内藤礼『空を見てよかった』がのっていた。目も、そうとう疲れている。

 ひとりになると気配をさっした。道や空や土からの、いるものといないものの茫洋たるようす。わたしは見えないことに助けられ、かれらの生をおなじつよさで思い、また思い出した。やがて、ひとりでいることに平安が返された。さあっとものが光った。この外にはわたしをのぞくすべてがある。じぶんではないものが生きているのが平安だった。闇に息をしずかにはいた。世界はきょうをのびやかに過ぎていく。わたしはその圧倒的な自由に眼をむけた。

 どこからでも読める本、どこでやめてもいい本は、いつでもひらかれているしずかな空間として、そばにある。
 
 今朝の朝焼けはみごとだった。