2020年11月7日土曜日

拾い読み日記 214

 
 「「休符のなかにも音がある」なら、余白のなかにも言葉があるのだろう。」
 作業中、数年ほど前に書き留めた言葉があたまをよぎった。ラジオを聞いていてメモした言葉で、話していたのは、佐治晴夫と髙木正勝だったと思う。

 「音」をおさめる冊子のデザインを通して、余白に向き合っている。余白のなかにあるのは言葉なのか、言葉でないものなのか。沈黙、静けさ? 今はゆっくり思いをめぐらす時間がない。本棚から本を引き抜いて、書きうつしておくだけ。

 だから描いた部分と描かない部分、作るものと作らないもの、内部と外部が、刺激的な関係で作用し合い響きわたる時、その空間に詩か批評そして超越性を感じることが出来る。
 芸術作品における余白とは、自己と他者との出会いによって開く出来事の空間を指すのである。(李禹煥「余白の芸術」