2021年2月6日土曜日

拾い読み日記 227


 北向きの部屋の窓辺で、目をとじて、シジュウカラのみずみずしいさえずりに耳をかたむけていたら、北窓開く、という季語を思い出した。どんな句があるのかな、と歳時記を開く。

 北窓をひらく誰かに会ふやうに  今井杏太郎

 北窓をひらいて、本をひらいて、言葉に会う。ひとりの時間なのに、人と話しているときみたいに心が浮きたって、さわさわ、ふわふわしている。
 風はまだつめたいけれど、ひかりに春がまじっている。ツツピツツピツツピツツピ。シジュウカラはいつまでもかわいらしい声で鳴いていて、窓辺にならべたぬいぐるみも、うれしそうに見えた。