2025年9月2日火曜日

拾い読み日記 333


 あいまいににじんだ月の下、夜のプールで若者たちが遊ぶたのしそうな声がする。黄色い声と低い声がまざりあう。あんまりたのしそうだから、すこしせつなくなった。できれば永遠にそうやって遊んでいてほしい、と思う。それがむりなら、いつまでもこのたのしい夜のことを、おぼえていてほしい。

 午前中、藍色の絵の具でキーボードをよごした。いくら拭いても藍色は取れなかった。それから、泳ぎに出た。水底の光をみつめながらゆらゆらと泳ぐ。何にも、誰にも所有されないきらめきが、そこにはあった。

 「あのころ僕は自然になろうと思った。」(ハンス・アルプ)
 
 自然になる、とは、自然を模倣することではない。自分が自然であるということ。自分の内部の自然にしたがうことだ。