2025年7月1日火曜日

拾い読み日記 323

 
 7月1日。プール開き。窓辺で一番のりの泳ぎ手を見まもる。ゆっくり歩いてきて、水に足を入れて、すこしバランスを崩した。思ったより水が冷たかったのか。空には繊細なレースのような白い雲がひろがっていて、それは波打ち際の景色にも似ていたので、いつか見た海があたまをよぎった。

 昨夜はシリアルキラーに追われる夢をみて、午前2時に目を覚ました。えたいのしれないおそろしいものがどこまでも追ってくる、しかも、ものすごいはやさで。脚は車輪のようだった。シリアルキラーが背負っていた重そうな荷物の中身はわからなかったが、ガチャガチャと金属音がしたのはおぼえている。目覚めたとき、上半身は汗をかいていたが、下半身は冷えていた。

 それから眠れなくなったので、本棚を眺め、クラリッセ・リスペクトル『水の流れ』に手をのばして、少しだけ読んだ。

 少し怖くもある。自分の身を委ねることが。次に訪れる瞬間は未知だから。次の瞬間を作るのはわたし? あるいはそれは自ずとできあがる? わたしと瞬間はいっしょに呼吸をしながら次の瞬間を作る。闘技場に立つ闘牛士のように機敏に。