
ある日、フランスから不思議なはがきが届きました。
言葉はひとこと金色のペンで「Bonjour!」、裏にはモノクロフィルムをコンタクトプリントした写真があって、でもどこの写真なのか判然としません。どこまでもまっすぐに続く道や、洞窟や、岩壁や。
もしSHIORI PROJECTのホームページアドレスが印刷されてなければ、なんのこっちゃと首をかしげるのみだったと思います。
さて、はるばる海をこえてやってきたこの栞、どこに挟もうかなあ、と考えたすえに手にした本のページには、こんな言葉が記されていました。
矢車菊の苦い根を土の側から噛んで
水色の空に散る星々を土の中から見つめる
知識もなく知性もない
あるのは心のゆれ
どんなに追い払っても逃げない記憶という小動物
管啓次郎『Agend'Ars アジャンダルス』(左右社)
管さんの本を読んでいると、今すぐ家を飛び出してまだ見ぬなにかやだれかに出会いたい、そんな衝動と、まだまだ、もっともっとたくさんの本を読まなければ、という焦燥に引き裂かれます。
追伸 四十前 秋の麦酒は 命取り