2020年10月17日土曜日

拾い読み日記 209


 落ち葉は蝶の羽根に似ている。書物のページとページの間で乾いて、それらは飛翔の記憶を変わることなく保ち続けている小さなもの言わぬ吸取紙である。(ジャン−ミッシェル・モルポワ詩集『エモンド』有働薫訳)

 疲れてうつろなあたまのなかで、ひらひら小さく舞うものがあって、なぜだろう、と思いをめぐらすと、今朝読んだ詩の一節だ、と気がついた。飛翔の記憶。重たい身体も、地上から、少しだけ浮き上がる。

 つめたい雨に打たれて、小鳥が柿をたべていた。メジロと、ムクドリだろうか。シジュウカラかもしれない。今日の雨で、また葉がたくさん落ちただろう。