2020年8月24日月曜日

拾い読み日記 199


 まる二日家から出なかったり、頭痛で寝ていたり、夏らしい活発なことはまったくせずに、夏が終わりそうだ。弱々しい蟬の声を聞くと、どこか淋しいような、なんとなくうれしいような、ふくざつな気持ちになる。

 大原扁理『思い立ったら隠居 週休5日の快適生活』がおもしろかった。
 働きかたについて、いろいろと考えたい年ごろなのかもしれない。
 「隠居を決意させたもの」という文章が、つよくこころに残った。本屋さんでアルバイトしていたときのエピソードに、(怖くて)ふるえた。

 私はここにいてはいけない、と思いました。
 こんなふうになってしまう前に、この職場を、こんなになるまで働かなくてはならない社会を、こちらから捨ててしまわなくては。

 そんなになるまで働かなくても、生きていけるということを、忘れないようにしたい。

 またフリーペーパーをつくっている。

2020年8月16日日曜日

拾い読み日記 198


 暑すぎて、昼間に外に出たらぶじに帰って来られないような気がする。夜になっても、気温はぜんぜん下がらない。クーラーをつけて寝ていても、毎晩、夜中か明け方に一度目がさめる。睡眠不足だと思う。毎日、午後に昼寝しないと、からだがもたない。

 ニコラス・G・カー『ネット・バカ』、読んでよかった。
 ネットを使うことはやめられない。何しろ、仕事ができない。でも、すこし意識して使うだけで、ちがうだろう。
 書物の歴史もネットの歴史も同時に学べて、とてもためになった。
 ちょっとメモしておこう。

 神経科学者が発見したとおり、脳は——および、脳が生み出す精神は——永遠に製作中の作品なのだ。それはわれわれ個々人だけでなく、われわれという種全体についても言えることである。(p.61)

  グーグルは神でもなければ悪魔でもないし、グーグルプレックスに闇があるとしても、それは誇大妄想でしかないだろう。この企業の創業者について憂慮すべき点は、人間を上回る思考能力を持った、驚異的にクールな機械を作りたいという彼らの少年のような欲望ではなく、そのような欲望を生み出した、人間の精神についての彼らの偏狭なイメージなのである。(p.243—p.244)
 
 世界中の本をデジタル化しようとする人々にとって、自分のつくる本/小冊子は、ほとんど何の価値もないものだろう。
 なんだかみょうに、制作意欲がわいてくる。

 長かった夏休みも、あと三日。プリンターが壊れたので、ネットで買った。

2020年8月9日日曜日

拾い読み日記 197

  
 信じがたい出来事が起きたり、仕事に強いストレスを感じたりすると、ネットばかり見てしまう。それで、もやもやしたあたまが余計もやもやしてしまう。そんなことをやめたい、と思って、インターネットからできるだけ離れてみることにした。今日から。今のところ、うまくいっている。今日何が起こったのか、ぜんぜん知らない。検索も、していない。

 ニコラス・G・カー『ネット・バカ』を読んでいる。ネットは、脳を変える。それでも、その変えられてしまった脳も、自分の行動と思考によって、また変えることができる。

 川崎昌平『同人誌をつくったら人生変わった件について。』を読んだ。おもしろかった。ときどき、うーん、と思った。「私のために私がつくる」という思考。なくしたわけではないけれど、何のために?と思うことはある。

 横溝健志『溝活版の流儀』も読んだ。読み応えがあった……。活版印刷への情熱に圧倒されるが、文章が面白くて軽やかだ。すみずみまで先生らしくて、素敵だと思う。
 
 疲れが癒えたら再起動して、何かを作りたい。何かとは、何か。それがどんなかたちをしているのか、まだぼんやりとしか、見えない。