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拾い読み日記 168
ふたりは欠けていて
むねのうちを うすもものはなびら さらさらと流れ くるしい夜が続いていた
一文字の口唇からともしれず しのびねの ほとほととたたく瀬戸のうす明りにも
はなは さらさらさらさらと降っていた
(三井葉子「さくら」)
昨日、夜道を歩いていて、桜に行きあい、この、さらさらという音を、聞いたように思った。人のゆく道でも、ゆかない道でも、桜はみごとに咲いていて、風にゆられて、雨にぬれて、もう、散ってしまうのだろうか。