2020年3月20日金曜日
拾い読み日記 165
あたたかな日。柿の木も幼い葉をつけはじめて、日があたるとその早緑がきらきらして見える。
昨日は近所の幼稚園の卒園式だったらしく、「……小学生になります!」という元気な声が聞こえてきた。呼びかけというのだったか。ああいうの、やった(やらされた)なあと、思い出した。自分がやるのはいやだが、通りすがりに聞くのは、なかなかよかった。ぜんぜん知らない子どもたちだが、そうか、小学生になるのか……、と思った。
今日は、一日、ラジオの弾き語りライブを聞いていて、本は読めなかった。
「ハンキーパンキー」「黄金の月」「さすらい」などなど、なつかしい曲も、ぜんぜんちがって聞こえて、いつもよりぐんとしみいってくるので、すっかりこころを持っていかれてしまった。
今月は、もう10数冊本を買っていて、読みかけの本ばかりが、溜まっていく。と、こういう書き方をするとネガティブだが、たとえば、読みかけの、ひらいた本が白い蝶になり、自分のまわりをふわふわと舞っている、と想像してみるのはどうだろう。つかれたら、むりに追いかけず、その様子をぼんやりながめているのもまた、いいのではないか。
春がきて、目がさめたばかりのくまみたいに、ぼんやりして。
はるが きて
めが さめて
くまさん ぼんやり かんがえた
さいているのは たんぽぽだが
ええと ぼくは だれだっけ
だれだっけ
はるが きて
めが さめて
くまさん ぼんやり かわに きた
みずに うつった いいかお みて
そうだ ぼくは くまだった
よかったな
まど・みちお「くまさん」、『まど・みちお詩集』(谷川俊太郎編、岩波文庫)より。今日の拾い読み。