2020年1月18日土曜日

拾い読み日記 142


 まだ暗いうちに目が覚める。新しい枕が合わないみたいだ。いいやつを買ったのに。押し入れから古い枕を出してきて取り替え、また寝床に入る。いつのまにか寝入って、結局10時近くまで寝てしまった。雪が降っていた。

 午後、また眠くなる。居間に椅子を三脚並べて、その上に横になる。30分ほどして起きると、鼻が冷たくなっていた。

 年末に啓文堂で買ったアゴタ・クリストフ『昨日』を読み終えた。くるしい物語だった。読んでいるうちに、息は浅くなるし、肩もこわばり、眉間にも力が入った。でも途中でやめることはできなかった。胸元をぎゅっと摑まれて、有無をいわさず、どこかへ連れていかれるような読書。


 私は黒い湖の岸で立ち止まった。ひとつの影が、私をじっと見つめながら通り過ぎていった。あるいはあれは、私が絶えず繰り返していた一篇の詩にすぎなかったのだろうか、音楽だったのだろうか? 私にはもう分からない。


 読み終えたあと、いくつかの場面が脳裏につぎつぎあらわれるので、いつか、この小説を映画化したものをみたような、おかしな感覚をあじわった。暗い空、工場行きのバス。あまりにも孤独な男。バスの窓からの景色さえも目に浮かぶようだが、男の顔をよく見ようとすると、黒い影がどこかからやってきて、覆い隠してしまう。