2019年6月24日月曜日

拾い読み日記 137


 私の生涯はずっとこんなふうな出会いからなっていました。直線的でなく、反合理的なものだったのです。私はそうしたものを大事にしたいと思っています。そして、そうした出会いが起ったとき、それに気がつかずにやり過すことのない精神の素朴さを失わずにいたい。われわれが生きている社会的システムの中では、実に多くのことがそれと気づかれることなく過ぎていってしまうからです。いつも目覚めていることが必要だし、奇蹟を信ずることも大切です。何かを信じれば、それは現存し、現実のものとなる。

 ダニエル・シュミットの言葉、蓮實重彦『光をめぐって 映画インタヴュー集』より。かつて読んだ、ある部分を読み返したくて図書館で借りてきたが、その言葉は、記憶とはすこしちがっていた。自分のあたまの中にある表現のほうがいいな、と思ったが、これはべつの本で読んだ、ほかの誰かの言葉のようにも思える。

 図書館からの帰り道、しだいに雲がばらばらになっていって、青空が見えた。すうっとミント味の甘い飴をなめたような感覚。明日も青空が見られますように。