2019年5月12日日曜日

拾い読み日記 118


 このところ、外を歩くと、ジャスミンの花の甘い匂いがする。日差しも強くなってきて、初夏らしい。麦藁帽子をかぶりはじめた。麦藁帽子は、かぶるのもすきだが、言葉としても、すきだ。

 今日も『ephemeral』の印刷をしようと活字を組み始めたら、買った活字がまちがっていることに気がついた。9ポイントと発注したのに、8ポイントだった。
 かなり精神的なダメージを受けたが、なんとかたてなおして、別のページを印刷した。誤植には気付いても、サイズのちがいに気付くのは、むずかしい……。
 スケジュール的には、まだまにあう。明日、交換してもらえばいいことだ。

 このところの娯楽は、作業しながら聞く音楽と、古本屋ぐらいしかない。古本屋は、水中書店まではいけないので、もっとも近いりんてん舎に、二日つづけて行った。今日買ったのは、鈴木創士『ひとりっきりの戦争機械』(青土社)。
 今日の作業が終わって、ビールをのみながら、拾い読みした。「ジャン・ジュネまたは類似の錯乱」。
 
 どうすればいいのか、残された身振りが、いまにも崩れ落ちそうな、埃だらけのアトリエのなかであれ、また遠い異邦の別の場所であれ、まだ死なずに、これからも死ぬことなくすでに死を知ってしまっていたのであれば。