2019年3月3日日曜日

拾い読み日記 88


 雨の日曜日。一日家で作業など。合間にりんごをバターでソテーしたデザートをつくってたべた。メープルシロップとシナモンをかけて、珈琲といっしょに。静かな、いい時間。
 本をあれこれ読みすぎて混乱してきたが、なかなかやめられなかった。道に迷っているとわかっているのにやみくもに歩くのをやめられない人に似ている。そういう人は、どこにも辿りつけずに、迷いながら、そのうち消えてしまうのだろうか。

 幼ない私が積む積木はどうしてだかいつもお城だった。お城は絵本の中だけで見たこともなかったが、積み上げてみるとそれは現実になり、いつでも自分がお城のお姫さまになれるので満足だった。長い時間をかけて積み上げた高いお城を両手で崩すときの、躰の芯から突き上げてくる感覚が好きで、日がな一日、積木遊びを繰り返した。

 中村苑子『俳句自在』より。
 読まなければいけないものが、なかなか読めない。迷いながら逃げている。