2018年10月8日月曜日

拾い読み日記 63



 昨日の夕暮れどき、海辺でみたふたりの女性の後ろ姿がとてもすてきで、カラフルなタンクトップとショートパンツからすらりとのびる細い手足をみていたら、ロメールの映画をなんとなく思い出した。ふたりは、しばらくのあいだ、海をみながら話していた。
 角を曲がって海がみえたときの色が、ぼうっとかすんで、光って、夢の中でみる景色のように、きれいだった。なごりおしくて、しばらく水平線をみながら、海沿いの道を歩いた。
 昨日の鎌倉は、とても暑くて、人も多くて、くらくらした。けれど、絵をみながら、しずかなひとときを過ごせたので、よかった。
 
 帰り、駅前のたらば書店で、迷ったすえ、『雪あかり日記╱せせらぎ日記』(谷口吉郎)を買った。ベルリンの暗い空、冬の憂鬱、戦争の不安。灰色にそまりそうになる。
 「そんな時に、いつも私の心を振い起してくれるものは「建築」だった。「建築」のことを思うと、なにかしら力強いものが私の心に浮んできて、暗くなろうとする気持を明るく引き立ててくれる。」
 
 このところ、曇りや雨の日に、すこしあたまが痛くなる。けれど、「本」のことを思うと、といいたいが、気を散らせるものが、たぶん、多すぎる。もっとシンプルになること。
 佐倉へは、いついこうか、決めかねている。待っていた郵便が届かなかったので、いっそ、ひとりで、しずかに、むかうのがいいのだろう。その前に「本」を読みおえてからいきたいが、いろいろなことを思ったり、思いだしたり、かんがえたりして、なかなか読みすすめることができない。