2018年7月28日土曜日

拾い読み日記 53


 貧血気味。ゆっくり、しずかに、すごそうと思う。台風も心配なので、買い物を早めにすませた。

 エーリヒ・ケストナー『エーミールと探偵たち』を読み終えた。『歩道橋の魔術師』と『デミアン』を少しずつ読み進めた。夏休み(の時期)だから、「少年」の物語に、なんとなく惹かれているようだ。

 今月は、本を躊躇なくどんどん買っているので、本棚がいっぱいになってきた。読みたい本が本棚にたくさんあるのは、いい。読む時間がないときは、多少圧迫を感じるかもしれないが、今はそんなことはないから、ただ、うれしい。
 ジョルジュ・ペレック『さまざまな空間』は、拾い読みにぴったりだ。

「指のすきまからこぼれる砂のように、空間は消えてゆく。時は移ろい、ぼくのもとに残るのは、もはや形をとどめぬ断片ばかり。

 書くこと。それはこころを込めてなにかを拾いとどめようとすることだ。ひろがりゆく空虚からくっきりした断片を救いだし、どこかに、わだち、なごり、あかし、あるいはしるしをいくつか残すこと。」

 こうした文章も、「少年」の物語の1ページのように思える。『歩道橋の魔術師』を読んだあとでは、特に。いくつもの本を同時に読むことで、毎日、あたまの中にアンソロジーをつくっているのかもしれない。それは、偶然に、瞬間的に生まれるものなので、目に見えるかたちにはならなくて、誰とも共有できるものではないのだが、読書の道筋は、そうした潜在的なコレクションによって、決められていく気がする

 雨が激しくなってきた。