2018年7月21日土曜日

拾い読み日記 47

 午前中、洗濯ものを干していると、お隣の女性が白い日傘をさして、目が合うと「暑くて死にそうですね」と笑顔でいいながら、さわやかに出かけていかれた。

 『鄙の宿』はあと3分の1くらい。一度ざっくりと読んだヴァルザーの章を読んでいる。小さな紙片に小さな文字の「秘密通信」。〈内的亡命〉ということ。

 昨日、夕方からは『瀧口修造の詩的実験 1927〜1937』を持って出かけた。駅前のカフェで読んでいて、ふと顔を上げると、まわりの人たちから、あまりにも遠く隔てられているような感覚におそわれた。詩を読むことで生まれる「空間」について、ぼんやりかんがえた。詩は秘密の空間を用意する。
 そのあと、大量の食器が落ちる音が店中に響き渡った。ずいぶん長く続いた気がするが、いったいどれだけの皿が割れたのだろう。ほんとうに、途中で夢かと思うくらい、長かった。
 いま赤黄男を思い出した。「蝶墜ちて大音響の結氷期」。涼しく激しい音だった。