2018年7月18日水曜日

拾い読み日記 44


 酷暑がつづく。昼間は外に出たくない。洗濯物を干しに出るだけで、びっくりするくらい暑い。 
 昨日はひさしぶりにK社へ。会社の近くを険しい表情の女性が黒いリュックを背負って歩いていた。むかし一度仕事をしたことがある人のような気がしたが、どうだろうか。たぶん目があってもお互い見過ごすだろうと思う。
 新国立競技場がだいぶ出来ていて、ああ、と思った。この先も何度か、この、骨組みだけの競技場の光景を、思い出すような気がした。あたりは静かだった。
 今朝は、石垣りんさんの散文を読んだ。知り合いではないのに、石垣りん、ではなく、石垣りんさん、と「さん」をつけたくなる。

「いつからか国土というものに疑いをもったとき、私の祖国と呼べるものは日本語だと思い知りました。言葉の世界に皇帝の位はありません。皇帝という言葉があるだけです。それは絶対ではない。」(『ユーモアの鎖国』)

 先日、ある展示で石垣りんさんの手紙を手にすることができた。文章から推測すると、詩を通して出会った、年若い人への手紙で、手書きの文字も文章も、ていねいで、やさしくて、あたたかなものだった。