2018年2月22日木曜日

拾い読み日記 19



 真冬のような寒さの日。雨が雪に変わったり、また雨に戻ったり。空も迷っているみたい。朝、目覚めたとき、少しだけ汗ばんでいて、寒気はなくなっていた。起きてしばらくは、ぼんやりしていた。うつろな感じだ。

 今日は印刷の日だったのだが、10枚ほど刷ったところで中断。急遽、活字屋へ向かう。文字の、わずかなつぶれと歪みが気になった。おそらく、見る人は、いわれないと気がつかないくらいのものだ。刷り色と文字組みによっては気にしなかったかもしれない。でも一度気になったら、刷れなくなってしまった。
 リルケ『フィレンツェだより』と『パステルナーク詩集』を鞄に入れていく。

「これからあなたに宛てて日記を書き始めることができるほど、自分が十分に落ち着きを得、成熟の域に達したかどうか――そういうことはわたくしには一切判らない。ただわたくしは、あなたが、あなたのものとなるこの一冊の本の中で、すくなくもわたくしが内密に、秘密に書きとめるものを通して、わたくしの告白をうけて下さらないうちは、いつまでもわたくしのよろこびは自分に縁の遠い、孤独のままでとどまるということを感じるばかりである。それで、わたくしは書き始める。」(『フィレンツェだより』)