2018年2月18日日曜日

拾い読み日記 15


 朝はホットケーキを焼いた。一枚焦がしてしまったが、おおむねおいしかった。日曜日の朝にホットケーキをたべるのは、なんとなくたのしいことだった。
 お昼までに入稿する予定の端物(はがき)を見直すと、粗がいろいろ目につく。あちこち調整。載せた言葉もどこかおかしく思え、書きかえ書きかえしていたら、どうしたらいいのかわからなくなり、似たような景色の中をぐるぐる回っているような感覚に陥る。入校前の焦りと不安の中、手繰る言葉はどれもよそよそしく、違和感を感じる。入稿は一日延期して、振り出しに戻り、すこし書き加えるくらいにした。見えない敵と闘ったような奇妙な疲れが残った。

 作っていたのは個展のお知らせのはがき。自分にとっての活版印刷とはなんだろう、なぜ活版をやっているのか、と考え始めると、いろいろと思い当たることはあるが、言葉にするのは難しい。また、知らないひとに向けて、自分(ヒロイヨミ社)の紹介にもなるような文を書こうとして、わけがわからなくなった。

「活字は物として存在している。重さもあるし、手足を動かさなければ、活字がこちらからあちらへ動くこともない。そして、物でいた活字から、最後に印刷という行為を経て、初めて文字が現われる。たぶん、活版印刷の過程のあちこちで感じる「手応え」に、私は何かしら癒される思いがしているのだ。」(金田理恵「活版印刷の楽しみ」)

 『活字礼讃』という本で読んだ文章。印刷の作業にとりかかるのは億劫なときもあるが、飽きるということはない。
 金田さんが活版印刷との出会いの際に感じた、「音量(ボリューム)」がちょうどいい、というのも、素敵な表現だと思う。活字に宿る、「秋の光の静けさと輝き」。静かなものを作りたい、とあらためて思う。

 今日も風が強い。机の上を片付けてから出かけよう。