2011年9月21日水曜日

活版とことば展(つづき)

ananas press

製本作家・都筑晶絵とヒロイヨミ社の山元伸子によるユニット。俳句、短歌、詩、小説、随筆など、さまざまなジャンルの文芸作品に描かれた「水」と「空」をフラグメントにして瓶に入れた『水の空』を出品します。言葉と言葉をつないだり並べたり重ねたりずらしたり、気の向くままに位置を変えてみると、思いがけない風景が見えてくるかもしれません。


大崎善治

Imakokoro tarot deck』(カードと冊子)、点字のカード3種類、そして新しい作品『Futatsu no Kimi』を出していただきました。「レタープレスキット」という機械を使ってエンボスを施した点字のカードは、目で読む言葉と手で読む言葉が、一枚の紙の上に共存してやわらかに響き合っています。とりわけ白の凹凸、その陰影に心惹かれます。新作『Futatsu no Kimi』は、昔から好きな歌の歌詞を、自ら印刷されたもの。歌の内容だけでなく、文字のかすれや刷りムラもまた、人の声にも似たあたたかな雰囲気を醸しています。


文京れんげ社

大木陽子さんと宇佐美智子さんによるユニット文京れんげ社は、今回はじめて活版印刷に取り組まれました。「食べる×言葉」をテーマにした、できたての湯気が見えそうなノートやカードたち。「舟のような月を見た日のピザ」「白い猫と歩いた日のおやつ」など、たのしそうなおいしそうな言葉がならんでいます。レシピといっしょにお楽しみください。だれかといっしょに(あるいは一人で)、ものを食べるなごやかで幸せな時間が恋しくなるようなものばかりです。 


山田理加

果物、スパイス、鳥、花のカードを展示販売します。雷鳥、小瑠璃、石叩、玄鳥、小啄木鳥、など、ただそれらの名前のみが、漢語で整然と、標本箱に収められたものたちのように並んでいます。日本語と活字の美しさを、あらためて伝えてくれるカードです。年賀状として作られた「叔母と正月」では、ただいくつかの言葉が並んでいるだけなのに、まるで一編の小説を読んだような、静かで深い余韻が味わえます。


ユニバーサル・レタープレス

台東区蔵前の小さなレタープレス工房、主宰するアートディレクターの関宙明さん(ミスター・ユニバースは、「港の人」で刊行されている活版印刷の詩集や歌集の装幀も手がけておられます。今回お預かりしたのは、『やまなし』『雪渡り』『風の又三郎』など、宮沢賢治の童話のことばを印刷したもの5種類。作品から解き放たれて、色とりどり、思い思いの衣をまとった言葉たちが、紙の上でリズミカルに踊っています。「キックキックトントンキックキックトントン」(『雪渡り』)。つい身体に声に、のせてみたくなります。



追伸 無事に帰ってくるかしら